|
正視できないほどの眩しい光。この真空では伝わらない音。
僕はブリッジであの星の破滅を目撃した。あの瞬間に発せられた光は七十二万の人間から生まれた命の光。その美しいほどの光を目にしたとき、僕の瞼の裏にはその眩しさが焼きついてしまって、多分僕は一生目を閉じるたびにその光景が思い浮かぶだろう。
そしてその光景が、まだ瞳に残されている光が何度も何度も他の風景を浮かべるように誘う。
瞼の裏側から蘇る風景は遠い昔の記憶の中、生まれて初めて見た『光』。燦然(さんぜん)として輝く高い空とその空に光る太陽。頬をなでる風と地上の空気。そしてその美しい場所で自分を待っている人たちが見える。
カミナが、ヨーコが、そしてまだ背が低いあの人がこちらを振り返って微笑んで、そして手を伸ばして―――。
そこでロシウは思い浮かべるのを止めて、首を軽く横に振る。……今なにを思っているのか、僕は。こんなのを思い出すことに何の意味があるって言うんだ。
確か、あの時の僕は希望というものを持っていた。獣人たちの都を目当てに走り出していた彼らに憧れ、全ての人間が地上で暮らせるようにしたいという同じ夢を見ていたのだ。
彼らはロシウが初めてみた地上そのものだった。あまりにもまっすぐで美しくて自由であり、そして強くて自分には息を呑んで見つめるしかできないぐらいに。
そんな彼らの背中を追いかけると、いつか誰も地下に隠れ暮らさなくてもいいし、村に住む人間の数を制限しなくてもいい世界でみんなが生きられるかもしれないと考えていた。
みんなも彼らを見て己のようにあの暗い村から地上へ出るための勇気を出せるだろうと信じていた。
だが、いま振り返ってみたらどうか。何度も奇跡のように立ち上がれていた彼は、己の弟分を救い出したがその代価は彼自分の命だった。スナイパーとして天才的な腕を持ち、そしてそれに負けない優しさと強ささえ持っていた彼女はその小さな島と自身の生徒たちから離れたくないと言い、この船には登らなくあの星と運命を共にした。
そして最後に、七年間ロシウと一緒にあの都市のために存在してその都市の象徴になり、続いた日々を過ごしたあの人。
あの人は死んだ。そして彼を殺したのは他の誰でもない僕だ。
僕が彼に手錠を掛け、彼を裁判所に立てた。そして彼を生贄にして一方的な判決を下して監獄に閉じ込めた。それで彼は予想より早く落下してきた月から身をかわすことすらできず、あの星と共に破滅した。
何の実感もなかったがそれが現実だった。そして、消えた人たちはただの過去に過ぎないものになってゆく。いくら彼らを思って詫び言を述べても彼らが戻ってくることはなく、現実には何の影響も与え得ない。
そう、彼ら三人のことを言うところではない。僕が見殺した七十二万の人間、そして地上に出るまで見殺してきた数十名の人間のことを床しく思って詫び言を述べるのは僕が今するべきのことではない。
我々は生き残らなければならないのだ。どんな手段を使っても。
彼はそう言いながら優しく自身の髪の毛を撫でさする。その言葉を無視しながら、彼の中心を口の中に入れて舌で包んだ瞬間。
「ぐ……あっ……!」
思わずロシウはびくっと体を震わせ、彼のものに軽く歯を立ててしまう。
両ももの間から刺激を感じて慌てて目を開け見下ろすと、いつのまにか靴を脱き裸足になったシモンの足先が服の上から自身のものをこすっているのが見えた。
「……歯を立ててもいいって、誰が言った? うん?」
柔らかい口調でたしなめながら、彼は先端だけを手先で絶え間なくくすぐる。自身の体液が染みて服がしっとりと濡れてゆくのを感じながらも、ロシウは抵抗すらできなく彼に言われたように口で愛撫を続ける。
「俺は別に戦わなくてもいいんだ。だから、お前が熱心に頼まなきゃいけないのにな」
先端だけくすぐるのは倦んだのか、やがて彼の足がロシウのもの全体を探って上下で擦り始める。
「うっ……ぁ、あっ……!」
強い刺激を受け無意識に首の動きを止め、彼のものを口に銜えたまま歎声を上げる。彼の足先が動くたびに力を奪われて、ロシウは思わず彼のすそをぎゅっと握りしめてしまった。
「っ……あっ、ぁ……はぁ……!」
「俺より早くいっちゃダメだぜ、ロシウ。わかってるんだろう」
口が休んでいるぞ、と彼はロシウの髪を引っ張って自らのものをもっと深く押し込んできた。質量を増してきた彼のものが喉ちんこに届き、嘔吐感を押さえながら一生懸命口で奉仕を続ける。やがてロシウの必死な舌と手の動きのおかげて、
「…っ……」
自身のものを弄ぶシモンの足先が止まったと思った瞬間、ロシウの口の中に熱いものが溢れ始める。その独特な苦味と粘性のため、吐いてしまいたくなるのを堪えながらロシウはそれをごくりと飲んだ。
乱れ髪を手でかきあげると、彼が少しは満足したそうな表情で自信を見下ろすのが見える。心の中で安堵の息をついた瞬間、
「一度だけで許されると思うのかよ」
彼はくすと笑って、自身の手を引き寄せて自らの膝の腕に乗せる。熱く脈打っているものが入口に当たる感触に、ロシウの腰がびくっと跳ねる。その瞬間、
「……あ……ぅッ……!」
[さあ、ご決断を。ロシウ総司令] 本文見本
|